セクタ異常が発生した Seagate HDD ST2000DM001 を RMA で返品する前に Seagate DriveCleanser を使ってデータを完全消去してみました
前回の記事 ではセクタ異常を検知した 旧HDD Seagate ST2000DM001 を RMA(Return Merchandise Authorization) を利用して、Seagate 公式サイトから HDD 返品交換の手続き を申し込みました。
あとは HDD を梱包して指定の場所まで送るだけですがその前に HDD に入っているデータを、Seagate 公式サイトで公開している 統合ソフトウェアスイート 「DiscWizard」 に入っている 「Seagate DriveCleanser」 を使って 旧HDD データの完全消去を行います。
今までは HDD のデータを完全消去するのに 「Darik's Boot And Nuke (DBAN)」 というフリーソフトを使用していましたが、DOS 上で起動する必要があるため、データ消去中は Windows が使えません。
最近は Windows 上からでも HDD のデータを完全に消去できるソフトがいくつかあるようで、先日インストールした 「DiscWizard」 にも 「Seagate DriveCleanser」 というツールが使えるようになっており、デフォルトで用意されている複数の消去アルゴリズムから HDD のデータ完全消去方法を選択できるようになっています。
Seagate DiscWizard から DriveCleanser 起動、DoD 5220.22-M 設定、消去開始 → 中断までの流れ
画像は Seagate ST2000DM001 を完全消去する前の 「CrystalDiskInfo」 の S.M.A.R.T 情報です。
この段階では C5 代替処理保留中のセクタ数 と C6 回復不可能セクタ数 の 「生の値」 がともに 「1B0」 となっています。
また、正常な HDD ではまずカウントされない BB 報告された訂正不可能エラー の 「生の値」 が 「246」 になっておりました。
この後 HDD の完全消去作業を行うのですが、カウントされていない 05 代替処理済みのセクタ数 も含め、各 S.M.A.R.T. 項目の 「生の値」 がいろいろと変化します。
「DiscWizard」 を起動して 「Seagate DriveCleanser」 をクリックします。
いろいろと処理が流れた後に 「Seagate DriveCleanser」 が起動しました。
データを完全消去する対象の HDD を選択して 「次へ」 ボタンをクリックします。
「アルゴリズムの選択」 画面が表示されました。
今回はデフォルトで選択されている 「高速」 から 「米国国防総省準拠 DoD 5220.22-M 方式」 を選択します。
「米国国防総省準拠 DoD 5220.22-M 方式」 の説明には 「4 工程でデータの抹消を行います。最初に任意のデータを書き込んだ後、2 回目は書き込んだデータの補数を書き込みます。3 回目はランダムな値を書き込み、最後に検証を行います。」 という内容になっています。
HDD のデータを完全消去するためには選択した消去アルゴリズムにもよりますが、HDD の全領域に複数回データを書き込む必要があるため、完全消去するまでかなりの時間がかかります。
「次へ」 ボタンをクリックします。
「概要」 画面です。
ここでは選択した消去対象の HDD( パーティション ) と消去方法(消去アルゴリズム)、およびデフォルトでは消去処理後のフォーマット方法までの内容が確認できます。
「消去後の処理」 をクリックします。
「消去後の処理」 画面ではデフォルトで 「フォーマットする - 消去したパーティションを現在のファイル システムでフォーマットします。」 が選択されています。
フォーマットする必要はないので、「何もしない - 消去したパーティションに対して何も行いません。消去したパーティションを使用するには、フォーマットする必要があることにご注意ください。」 を選択しています。
「レ 完了」 をクリックします。
「選択されているパーティションを完全に消去する」 にチェックマークを入れ、「実行」 ボタンをクリックすると HDD の完全消去処理が始まります。
「ディスク クリーニングの進捗状況」 画面が開き、処理の進捗状況がわかるようになります。
しばらくして 「ディスクにデータを書き込むことができませんでした。 - ハードディスク '2' のセクタ "2,048' に書き込むことができませんでした。」 というメッセージが表示され処理が止まってしまいました。
以前やった HDD のクローンでも同様なトラブル がありましたが、やはりセクタ異常がある HDD の場合はツールを使ってクローンや完全消去する場合に、このようなエラー画面が表示されてしまうようです。
試しに 「再試行」 ボタンをクリックしてみます。
同じエラー画面が再度表示されてしまいましたので、今度は 「すべて無視」 ボタンをクリックしてみます。
なんとか処理が進んだようなので、このまま完了するまで放置してみます。
プログレスバーが右端まで到達して 「残り時間: 計算中」 になるこの時点まで約 9 時間かかりました。
ちなみにこの完全消去処理は常に CPU 使用率 25% (4コア 4スレッド CPU Intel Core i5 3570 の場合) を常に使用している状態になります。
さらに 3 時間後(消去処理スタートから 12 時間経過後) この 「計算中」 からまったく変わらない状態が続いたため、やむなく 「キャンセル」 ボタンをクリック。「ディスクのクリーニングをキャンセルしてもよろしいですか?」 と表示されますので 「はい」 ボタンをクリックして処理を中断しました。
長い時間をかけて HDD の完全消去処理を行いましたが、どうもセクタ異常がある HDD に対してはツールを使っての処理(クローン、完全消去)は正常に完了しない可能性が高いようです。
Seagate SeaTools すべてを修復 - 高速修復 1回目 失敗
「Seatools」 には HDD 上で検知したセクタ異常に対して修復を試みる機能があります。
すでに HDD 内のデータ移行は完了していますので、「Seatools」 を使ってセクタ異常の修復を試みてみます。
セクタ修復をする HDD のシリアル番号を選択して 「ベーシックテスト」 - 「すべてを修復」 - 「高速修復」 をクリックします。
「SATA リペアプロパティー」 画面が開きました。「F8 キー」 を押すとセクタ修復が始まります。
「ドライブの状況」 が 「高速修復」 になりましたので、結果が出るまでしばらくこのまま放置します。
しばらくして 「高速修復 - 失敗」 と表示され修復が中断されてしまいました。
ここで 「CrystalDiskInfo」 の S.M.A.R.T. 情報を確認してみると、C5 代替処理保留中のセクタ数 と C6 回復不可能セクタ数 の 「生の値」 が 「1B0」 から 「E9」 まで減少しました。
その代わり 05 代替処理済のセクタ数 の 「生の値」 が 「C7」 に、また BB 報告された訂正不可能エラー の 「生の値」 が 「246」 から 「3D8」 までカウントされてしまいました。
どうやら 「Seatools」 のセクタ修復を行うと、S.M.A.R.T. 情報の 「生の値」 が増減することがわかりました。
Seagate SeaTools すべてを修復 - ロング修理 失敗
今度は、セクタ修復をする HDD のシリアル番号を選択して 「ベーシックテスト」 - 「すべてを修復」 - 「ロング修理」 をクリック、実行してみます。
「SATA リペアプロパティー」 画面が開きますので、「F8 キー」 を押してセクタ修復処理をスタートさせます。
「ドライブの状況」 が 「ロング修理」 になりましたので、結果が出るまでしばらくこのまま放置します。
しばらくして 「ロング修理 - 失敗」 と表示され、再び修復が中断されてしまいました。
再び 「CrystalDiskInfo」 の S.M.A.R.T. 情報を確認してみると、C5 代替処理保留中のセクタ数 と C6 回復不可能セクタ数 の 「生の値」 が 「E9」 から 「22」 まで減少しました。
そして 05 代替処理済のセクタ数 の 「生の値」 が 「C7」 から 「18E」 に、BB 報告された訂正不可能エラー の 「生の値」 が 「3D8」 から 「568」 まで値がカウントされていました。
「Seatools」 でセクタ修復を何度か行うと、S.M.A.R.T. 情報の 「生の値」 が増減(改善?)するようなので、もう少しこの辺の修復処理をやってみます。
Seagate SeaTools すべてを修復 - 高速修復 2回目 成功
再び、セクタ修復をする HDD のシリアル番号を選択して 「ベーシックテスト」 - 「すべてを修復」 - 「高速修復」 をクリックしてスタートさせたところ、「高速修復 - パース」 なり、修復処理の結果がエラーとならず 「成功結果」 という形でうまくセクタ修復ができたようです。
「CrystalDiskInfo」 で S.M.A.R.T. 情報を確認してみると、C5 代替処理保留中のセクタ数 と C6 回復不可能セクタ数 の 「生の値」 が 「22」 から 「0」 になりました。
05 代替処理済のセクタ数 の 「生の値」 が 「C7」 から 「1B0」 に( これは HDD 消去処理する前 の 「CrystalDiskInfo」 の C5 代替処理保留中のセクタ数 と C6 回復不可能セクタ数 と同じ値です。 )、BB 報告された訂正不可能エラー の 「生の値」 が 「568」 から 「5AD」 まで値がカウントされた結果となりました。
「Seatools」 を使ってなんとか HDD のセクタ修復を完了することができましたので、この状態で再度、「DiscWizard」 の 「Seagate DriveCleanser」 を起動して HDD の消去処理を試みてみます。
「ディスクの管理」 からボリュームを削除
再度 HDD の完全消去処理をする前に、旧HDD のドライブレターが残ったままだったので、念のため削除しておきます。
「ディスクの管理」 画面を開き、削除したい パーティション を選択して右クリックからメニューを表示します。
「ボリュームの削除」 をクリックします。
「このボリュームを削除するとボリューム上のデータがすべて削除されます。保存の必要なデータを削除の前にバックアップしてください。続行しますか?」 というメッセージが表示されますので、間違いがないことを確認できたら 「はい」 ボタンをクリックします。
「未割り当て」 になれば パーティション 削除は完了です。
DriveCleanser DoD 5220.22-M 再消去開始 → 消去完了
再び 「DiscWizard」 を起動して 「Seagate DriveCleanser」 をクリックします。
以下 「Seagate DiscWizard から DriveCleanser 起動、DoD 5220.22-M 設定、消去開始 → 中断までの流れ」 と同じ手順で進めていきます。
「Seagate DriveCleanser」 が起動後、データを完全消去する対象の HDD ( 画像では 「未割り当て」 の HDD ) を選択して 「次へ」 ボタンをクリックします。
「アルゴリズムの選択」 画面でデフォルトで選択されている 「高速」 から 「米国国防総省準拠 DoD 5220.22-M 方式」 を選択します。
「次へ」 ボタンをクリックします。
「消去後の処理」 をクリックすると 「消去後の処理」 画面が開くので、デフォルトで選択されている 「フォーマットする - 消去したパーティションを現在のファイル システムでフォーマットします。」 から 「何もしない - 消去したパーティションに対して何も行いません。消去したパーティションを使用するには、フォーマットする必要があることにご注意ください。」 に変更します。
「レ 完了」 をクリックします。
「概要」 画面で消去方法を確認して問題がなければ 「選択されているパーティションを完全に消去する」 にチェックマークを入れ、「実行」 ボタンをクリックすると HDD の完全消去処理が始まります。
「ディスク クリーニングの進捗状況」 画面が開きますので、処理が完了するまでこのまま放置しておきます。
プログレスバーが右端に到達して最初の 「計算中」 のメッセージが表示されるまでに約 6 ~ 7 時間が経過しました。
しばらく 「計算中」 が表示されたのちに、再びプログレスバーが左端からスタートします。
さらに 6 ~ 7 時間経過後に 「ディスクが正常にクリーニングされました。」 と表示され、約 14 時間ほどの時間をかけて 「米国国防総省準拠 DoD 5220.22-M 方式」 による HDD の消去が無事完了しました。
「OK」 ボタンをクリックして画面を閉じます。
その後、再度 14 時間かけて 2 回目の 「米国国防総省準拠 DoD 5220.22-M 方式」 を実行し、こちらもエラーが起きることなく HDD 消去処理を完了することができました。
画像は HDD 完全消去後の 「CrystalDiskInfo」 の S.M.A.R.T. 情報です。
以上で、「Seagate DriveCleanser」 を使っての HDD のデータ完全消去作業は完了しました。
あとは HDD を梱包して指定の場所(日本国内、千葉県)へ送り出すだけとなりました。
次回の記事では HDD の梱包から発送までの流れを公開します。
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